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「ラブライブ!サンシャイン!!」2期第12話 感想 -「Aqoursの気持ち説明会」に参加した気分になった-

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ラブライブ!サンシャイン!!」2期12話を見ました。

いよいよ大詰めのこの作品、決勝と卒業は劇場版でじっくり、という願い虚しく、今回で決勝のパフォーマンスまで描き切った。次回がエピローグ的な回になるならば、作品のテンションは今回が最高潮となる回である。

先に言う。

あんまり響かなかった。

すげえ良いことを言っているっぽいのに、終わってみると「あれ、なにこのモヤモヤは」と。テンション低いまま。

なぜ最高潮になるはずの回でスッキリしないのだろう。

今回はその辺を自分なりに検討した。

 

1.いろいろ詰め込みすぎた

消化すべき要素のわりに残された時間が少ないと懸念した7話。その懸念をあざ笑うかのように北海道に行ってしまった8、9話。そして薄味の10、11話。

消化不良のまま最終盤まできた結果、この12話にとにかく詰め込むしか無くなってしまった。

まず、象徴的なのが千歌によるメンバー全員への勝ちたい?インタビュー。

ついにどうにもならなくて、こうなってしまったかという感じ。

本来1期から25話もメンバーを見てきたら、もっと些細なセリフや仕草から気持ちを察せられるくらいにはなっているはずだが、その辺をおざなりなままこの作品は進んできてしまった。だから、こうして語ってもらわないと分からないのである。

このインタビュー自体は、個性が感じられる、という意味で悪くなかったと思う。

気持ち悪いくらい同じ意見で口をそろえて「ラブライブどうでもいい」言ってた7話に比べると、「勝ちたい」のニュアンスもそれぞれ少しずつ違って、Aqoursってそういう9人の集まりなんだなと改めて認識できた。いやもう25話なんだけども。しかし、色々語ってくれたインタビューの回答内容には少し不満がある。それは後述する。

このわざとらしいインタビューだけでもギリギリなのに、そのあと今度は学年ごとに集まって語る。そして9人で集まって語る。

そもそも、勝ちたい?インタビューに行くまでにも相当詰め込まれている。

まず、学校を出発するまでにやたらわざとらしいセリフ回しで語る。次に神社にお参りして、願い事を語る。そして旅館に泊まって語る。

もう語りすぎである。やけに説明口調なのも冗長さに拍車をかける。

Aqours以外の面では、絵馬に学校の生徒たちが願ってくれてた、というくだりに加えて、当然ながら生徒は応援に来ているし、今度は生徒だけでなく町の人まで来てる、と周りの支えの部分に関してもやたら繰り返される。

もっと言えば絵馬のシーンがあった後に、またダイヤが絵馬を書いている。

「ぼくが最終回までに描きたかった100のシーン」を順番に消化しているようだった。

もちろんこれらのシーンが全て絶大な効果を発揮していれば文句が無いのだが、そんなわけ無くて、同じ尺の中に大量に詰め込んでしまえば、当然一つ一つの印象は薄くなってしまう。

色々ごちゃごちゃ言っていたけど、結局なに?といった所感になってしまった。

何から何まで全部声に出して語るから、こちらが入り込む余地が無い。全部「あ、そうなんだ」という感想で終わる。

一切語らずに雰囲気だけで進んで困惑するかと思ったら、今回はやたら語って説明会状態。ちょうどよくできないものか。

 

2.「勝ちたい」の説得力

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今話で連呼される「勝ちたい」という言葉。

連呼される割に、この言葉自体に力が大して無い。

そもそも「輝きたい」という連呼ワードがすでに一個あるのに加えて「勝ちたい」という連呼ワードを作るから、潰し合って印象が薄い。

元々は1期で千歌がSaint Snowに対して「勝ちたいですか」と問うたのが始まりで、それが決勝に進んだ今、千歌自身に帰ってくる。

この聖良からの「勝ちたいですか」という言葉、12話の感じを見た限り、「勝ちたい」という気持ちに具体性や実感はあるのか、という問いに思える。

そうなると1期の千歌からのときは、あの時点の千歌はSaint Snowのように「勝ちたい」を具体的に感じられていなかった故の質問のようである。「勝ちたいって具体的に何がどう勝ちたいの?」という。Saint Snowはその答えを持っていたから、決勝に進めた。そして千歌は進めなかった。

ちなみに少し話が逸れるが、私は千歌の「勝ちたいですか」という言葉、今話を視聴するまでは、勝ちに執着するSaint Snowに対して「結果以上に大切なものってあるじゃん?」と主人公らしく綺麗事を言いたかったシーンだと思っていた。まずそこを間違えていたようで、勝ちたい問答の展開にいきなり困惑してしまった。

話は戻って、その流れからの、勝ちたい?インタビューであるので、当然決勝に進んでいる彼女たちはその答えをちゃんと持っているよ、というシーンになってくる。

しかしながら、この「勝ちたい」、本当に口だけなのである。

彼女たちがどこで「勝ちたい」に具体性と実感を持てるようになったのか、私は見ていても分からなかった。

結果を求めるようになったという意味では、7話が大きなターニングポイントであると考えられる。

元々目標としていた廃校を救うことや、輝きを見つけることは、言ってしまえばラブライブでの優勝が絶対条件では無い。

しかしそれが7話で変わる。

「優勝して学校の名前を刻む」という新たに設定された目標は当然優勝がマストになるわけである。この目標によって、彼女たちが結果を求め始めているのは理解できる。

そんな大きな転換があったというのに、7話以降、彼女たちは何をやっていただろうか。

北海道行って、星空を見て、文化祭やって。

「勝ちたい」をこちらが実感できるシーンが全くない。

それでいて突然やたら饒舌に自分にとっての「勝ちたい」を語る姿はかなり置いて行かれる気分になった。

その回答自体も不満がある。

誰一人として「学校の名前を刻む」という目標について触れなかったからだ。

だってこのAqoursというグループ、学校の廃校が決まったときは活動を終了しようとしていたグループでしょ? それも全員一致の意見で。

その活動終了に待ったをかけたモチベーションがこの「学校の名前を刻む」であるはず。

にもかかわらず、スクールアイドルへの気持ちだの、楽しみたいだの、メンバー皆して自分の話ばかりである。

開口一番で「勝ちたい。勝って浦の星の名前を刻む」くらい言うメンバーがいてほしい。

その可能性が一番あった鞠莉は、「Aqoursとして勝ちたい」。

普通ならAqours愛にあふれる良いセリフだが、学校とAqoursは一心同体なニュアンスを強く出しているこの作品に関しては、むしろ逆に感じる。

なぜここにきて学校とAqoursを分けて考えているような発言を、学校を一番大事に思うポジションのキャラがしてしまうのか。

一部メンバーは良い「勝ちたい」を語ってくれたと思うし否定したくない。しかし、7話で一度全員がラブライブ出場を止めようとした事実を忘れていないかということ。そして、口に出して語れば語るほど、言葉から重みが失われていくことを実感せざるを得ない。

1項と被る部分であるが、「私たちこう思ってます!」と説明される感じが押しつけがましい。

 

3.千歌がダメ

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これまで散々脚本の犠牲になってきた千歌。

ごめん、今回もダメだった。

 最も引っかかったのはやはり大会前日夜のシーン。

「優勝して、名前を残して。それでいいんだよね?」って。

ここで立ち止まってしまう意味がシンプルに分からない。

まず、「優勝するとして、それでいいの?」って言い回しが鼻につくが、7話以降ラブライブに対しては不遜なスタイルなのでいいとしよう。

問題は、千歌以外のメンバーは全員すでに「それでいい」と答えを出してるっぽい状況で、千歌だけがブレーキをかけているという点である。

「なに弱気になってんの!」と善子は言っているし、3年生も「大丈夫」とポジティブな考えをしているのに、千歌が疑問を投げかける。そしてそれを見た曜が気を遣って元気づける枕投げ。

そのあとのインタビューでも全員悩むことなく「勝ちたい」と言っている点を含め、千歌の問いかけは本当に千歌の中だけにある疑問で、勝手に悩んで勝手に解決している。

まだ大会が先、という状況ならまだしも、大会前日に不安にさせるような発言をして、メンバーに気を遣われて、何がしたかったのか分からない。

その自覚が本人に無い様子なのも、こちらの苛立ちを加速させる。こっちは即「いやそれでいいだろ」とツッコミを入れているのに「私も全力で勝ちたい」に行きつくまで何であんな時間がかかるのか、テンションの乖離がすごい。

聖良が「なんて頼もしいんだろう」と評価しているが、千歌に関しては全く頼もしくない。

少し偏った好みになるかもしれないが、個人的には、この千歌の一連の行動、考え方が、優勝を狙う大会直前のメンタリティじゃない。

もっと言うなら、優勝するメンタリティじゃない。

いや、もちろんまだ優勝するか結果は分からないのだが、優勝を狙う展開であるし、視聴するこちらも優勝を期待する流れである。「優勝できなかったけど記憶に残りました」なんて結果は期待しない。

じゃあ優勝する、という結果を考えたとき、今話終了時点でAqoursに対して「これは優勝のチームだ」と私は思えない。

直前になってグループの根幹に関わる部分が揺らいで、各自が改めて見つめなおさなければいけない状態が勝つチームだろうか。

これで次回、優勝したという結果だけを押し付けられても困る。やはり2期2話から変わっていない。

勝つべくして勝ってほしいのに、ついに12話までにそんな「頼もしいAqours」に仕上がらなかった。残念でならない。

 

4.次回、ついに最終回

期間で言えば1年以上にわたって続いてきたアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」も次回の2期13話で終わる。

個人的には10話、11話、12話と最終盤でテンション低くなってそのまま終わるなあ、といった感じで、最終回を迎える実感は全くない。

ここから13話で大逆転することはもうあり得ないと思っているので、最終回に期待はしていない。せめて普通に終わってほしい。

1期のように低空飛行する作品にとどめをさすことは無いようにお願いしたい。

とりあえずSaint Snowちゃんは犠牲にならないように最後まで逃げきってくれ!

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以上です。ありがとうございました。